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福岡高等裁判所 平成7年(ネ)139号 判決 1995年10月27日

平成六年(ネ)第六五六号事件控訴人・同第六六八号事件被控訴人・各附帯控訴事件附帯被控訴人

シャルマンコーポ博多管理組合

右代表者理事長

樋渡重喜

右訴訟代理人弁護士

中島繁樹

村山博俊

吉岡隆典

平成六年(ネ)第六六八号事件控訴人

空閑忠雄

右訴訟代理人弁護士

鶴丸富男

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一二一号事件附帯控訴人

水上市幸

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一三一号事件附帯控訴人

無敵剛介

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一四三号事件附帯控訴人

野尻准一

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一三五号事件附帯控訴人千綿孝太郎承継人

千綿恭子

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一三九号事件附帯控訴人

松尾勝巳

右訴訟代理人弁護士

鶴丸富男

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一四六号事件附帯控訴人

内田和子

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一三四号事件附帯控訴人

梶原淳平

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一四二号事件附帯控訴人

山辺正

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一五七号事件附帯控訴人

行徳明敬

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一三九号事件附帯控訴人

尾川喜士

右訴訟代理人弁護士

鶴丸富男

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一五一号事件附帯控訴人

矢野富士子(旧姓黒田)

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一三〇号事件附帯控訴人

木村喜彦

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一五八号事件附帯控訴人

松田洋子

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一三六号事件附帯控訴人

友納クニ子

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人一五名補助参加人

山中玲子

〔以下、平成六年(ネ)第六五六号事件控訴人・同第六六八号事件被控訴人・各附帯控訴事件附帯被控訴人シャルマンコーポ博多管理組合を「一審被告」、

平成六年(ネ)第六六八号事件控訴人空閑忠雄を「控訴人空閑」、

平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・平成七年(ネ)第一三五号附帯控訴事件附帯控訴人千綿孝太郎訴訟承継人千綿恭子を「附帯控訴人千綿」、

その余の平成六年(ネ)第六五六号事件被控訴人・各附帯控訴事件附帯控訴人ら全員を「一審原告ら」、個別には「一審原告○○(姓のみ)」と

それぞれ表示する。〕

主文

一  平成六年(ネ)第六五六号事件につき

一審被告の控訴に基づき、原判決中一審原告ら及び附帯控訴人千綿と一審被告に関する部分を次のとおり変更する。

1  一審被告に対し、平成三年四月二三日以降、一審原告水上は月額五〇〇円、その余の一審原告ら及び附帯控訴人千綿は月額七〇〇円を超えては、それぞれ駐車場使用料債務を負わないことを確認する。

2  一審原告ら及び附帯控訴人千綿のその余の請求をいずれも棄却する。

二  各附帯控訴事件につき

一審原告ら及び附帯控訴人千綿の各附帯控訴をいずれも棄却する。

三  平成六年(ネ)第六六八号事件につき

1  控訴人空閑の当審における請求のうち、控訴人空閑から訴外草野芳久に対する、平成四年二月二〇日付不動産売買契約書による駐車場専用使用権の譲渡が有効であることの確認を求める請求にかかる訴えを却下する。

2  控訴人空閑は、一審被告に対し、平成三年四月二三日以降、月額七〇〇円を超えては駐車場使用料債務を負わないことを確認する。

3  控訴人空閑の当審におけるその余の請求を棄却する。

四  全事件につき

一審被告と一審原告ら及び附帯控訴人千綿との間の訴訟費用(各附帯控訴費用を含む。)は第一、二審とも一審原告ら及び附帯控訴人千綿の負担とし、一審被告と控訴人空閑との間の当審における訴訟費用は控訴人空閑の負担とする。

事実及び理由

第一  申立

控訴の趣旨

平成六年(ネ)第六五六号事件

1  原判決中一審被告の敗訴部分を取り消す。

2  一審原告ら及び附帯控訴人千綿の請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも一審原告ら及び控訴人千綿の負担とする。

平成六年(ネ)第六六八号事件

1  原判決中控訴人空閑に関する部分を取り消す。

2  一審被告に対し、

(1)  控訴人空閑から訴外草野芳久に対する、平成四年二月二〇日付不動産売買契約書による原判決別紙二「駐車場専用使用権目録」駐車場配置見取図表示20の駐車区画の専用使用権の譲渡が有効であること

(2)  控訴人空閑は、平成二年七月一日から平成四年三月三一日までの間の右専用使用権の管理または駐車料として、月額七〇〇円を超えては支払義務を負わないこと

を確認する。

3  訴訟費用は第一、二審とも一審被告の負担とする。

(控訴人空閑は、当審において、一審被告に対する従前の請求を右第2項のとおり交換的に変更した。)

各附帯控訴の趣旨

1  原判決中一審原告ら及び附帯控訴人千綿の各敗訴部分を取り消す。

2  一審被告に対し、各一審原告及び附帯控訴人千綿は、それぞれ、その所有にかかる建物等区分所有権とともに、これと一体をなす専有部分として、各駐車場占有使用権を自由に右区分所有権を買い受ける第三者または他の区分所有権者に譲渡もしくは賃貸する権利を有することを確認する。

3  原審における訴訟費用中一審原告ら及び附帯控訴人千綿の負担部分の三分の一及び当審における各附帯控訴費用は一審被告の負担とする。

第二  事案の概要

一  当事者間に争いがない事実及び証拠により認められる基礎事実

1(一)  訴外東レ・エンジニアリング株式会社(以下「訴外会社」という。)は、昭和四九年一〇月新築の原判決別紙三「物件目録」記載の一一階建共同住宅「シャルマンコーポ博多」(二DKないし三LDKの居室三五七戸、一階店舗八戸。以下「本件マンション」という。)を一般に分譲するに際し、その敷地の一部に四七の自動車駐車用の区画を設け、この各区画を本件マンション購入者のうちの駐車場の取得を希望する者に対し「駐車場専用使用権の譲渡」として、先着順により有償で割り当てた。

(右「駐車場専用使用権」という概念は、民法その他の法律において定められた地上権、賃借権等とは異なり、権利の内容、得喪、対抗力、存続期間等が一義的に定まったものではなく、かつ、本訴においては、これが土地用益を目的とする財産権であることについては争いがないものの、その法的性質及びその帰属主体が有する権限がどのようなものかについては当事者の主張が対立しているから、本判決では「マンション区分所有者の共有に属する敷地の一部に設けられた駐車区画のうちの特定の一区画を、自動車の駐車、保管の目的で、独占的かつ排他的に使用することができる地位もしくは権能」という意味において用いることとする。)

(二)  昭和四八年一一月から昭和四九年一一月にかけて、訴外会社から本件マンションの区分所有権を購入した一審原告ら(一審原告松尾、同矢野及び同松田を除く。)、附帯控訴人千綿の被承継人亡夫千綿孝太郎(以下「亡千綿孝太郎」という。)及び控訴人空閑は、それぞれの駐車区画の割り当てを受けて専用使用権を取得し、一審原告松尾、同矢野及び同松田は、その後に各駐車区画の専用使用権を各前者から承継取得し、附帯控訴人千綿は、平成三年一二月二六日に死亡した亡千綿孝太郎からその駐車場専用使用権を相続により承継取得した(一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑が取得した専用使用権の目的たる各駐車区画の位置、専用使用権取得費及び管理費、取得年月日等は原判決別紙二「駐車場専用使用権目録」及び別紙四「駐車場専用使用権取得明細」記載のとおりである。)。

(三)  訴外会社と、一審原告松尾、同矢野及び同松田を除くその余の一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑それぞれとの間で作成された内容同一の各マンション売買契約書(土地附区分建物売買契約書)には、売買目的物件の表示として、区分所有建物の専有部分、共用部分の共有持分、共用施設の共有持分及び敷地の共有持分のほか、番号及び面積により特定され、所有権はない旨が注記された駐車区画及び庭の専用使用権が掲記され、売買代金について定めた第二条には、売買代金総額(平均で約八五〇万円)の記載に付加して、売買代金のうち「駐車場関係費」は四〇万円または三〇万円(普通自動車用の区画については一律四〇万円、軽自動車の区画については同じく三〇万円)であるとの記載があり、共有持分の割合について定めた第八条の二項には、本件マンションの購入者はその敷地のうち専用駐車場及び専用庭について、専用使用権者がその用途にしたがい、これを使用することを承認する旨の記載がある。

(四)  訴外会社による本件マンションの一般分譲に際し、各購入者は、各マンション売買契約締結と同時に、原判決別紙五「旧管理規約等抜粋」記載の規定を含む「シャルマンコーポ博多管理組合規約(案)」(以下「旧管理組合規約」という。)を原案のとおり承認する旨の「シャルマンコーポ博多管理組合設立委託書ならびに管理組合加入申込書」(甲一一号証の一、二)及び訴外東福互光建物管理株式会社(以下「訴外管理会社」という。)を受託者とする「シャルマンコーポ博多管理委託契約書」(甲一〇号証)にそれぞれ署名し、訴外会社に差し入れた。

その後、旧管理組合規約に定める管理組合として、一審被告が設立された。

(右(一)ないし(四)の各事実のうち一審原告松尾、同矢野、同松田及び補助参加人が専用使用権を取得した事実は甲二〇、二八、三〇号証、丙一号証により認められ、その余の事実は争いがない。)

2(一)  一審被告は、その後、部外者の無断駐車に対処するため、シャルマンコーポ博多駐車対策委員会(以下「駐車対策委員会」という。)を設置し、駐車場の管理等をこれに任せ、以後、駐車場専用使用権を有する組合員が建物区分所有権を他に譲渡するときは、駐車対策委員会の承認のもとに、駐車場専用使用権を他の組合員に譲渡することが行われるようになり、駐車場専用使用権を有する組合員が区分所有権とともに専用使用権を第三者に譲渡するときに、譲渡人と譲受人が作成した譲渡契約書に駐車対策委員会の委員長が立会人として署名捺印することもあったが、駐車対策委員会が把握せず、したがって、その承認や委員長の立会のないまま譲渡された例もあった。また、駐車対策委員会の指示により、専用使用権を有する組合員相互の間で、駐車区画の変更がなされたこともあった。駐車対策委員会は、駐車場専用使用権の譲渡の際には、譲受人が譲渡人に対し施設負担金の名目で四〇万円を支払うよう指導し、このため右の譲渡にあたって四〇万円の支払がなされるのが通例となり、専用使用権の代価が高騰することはなかった。また、一審被告は、区分所有権を他に売却した者から、四〇万円を支払って駐車場専用使用権を買い取り、これを、抽選で選ばれた他の組合員に、同額の金員の交付を受けて譲渡したこともあった。

(二)  昭和五二年、駐車対策委員会は、本件マンションの敷地内に新たに一四区画の駐車場を増設し、また、近隣の民間駐車場に一〇区画の借り上げ駐車場を確保し、いずれも月額一万円の使用料を徴して組合員に使用させるようになった。駐車場専用使用権を有する組合員の中には、月額七〇〇〇円ないし一万円の交付を受けて専用使用権を有しない他の組合員に自己の駐車区画を貸す者もあったため、組合員の間で駐車場の使用方法について不満の声が上がるようになった。

(三)  昭和六二年二月、一審被告は理事会を開催し、駐車場の運用方針として、組合員の資格を喪失したときは、自動的に専用使用権は消滅し、一審被告において当該駐車区画を自由に他の組合員に使用させることができること、組合員は専用使用権を区分所有権とともに第三者に譲渡することはできないこと、専用使用権の譲渡を希望する者は駐車対策委員会に申込をし、その立会のもとに譲渡しなければならないことを記載した、駐車対策委員会名による「駐車場専用使用権に対する基本的考え方」と題する書面(乙四号証の二)を組合員に配付し、同年五月二三日に開催された第一二回通常総会においても、組合員に対し右の「考え方」を説明した。

(右(一)ないし(三)の各事実は甲二〇、二八、三〇、三六号証、乙三号証、同四号証の一、二、同六、七、同八号証の一、二、同九号証、同一〇号証の一、二、同一一号証の一ないし五、同一二号証、同一三号証の一ないし三、同一四ないし一九号証、同二一号証及び原審証人樋渡重喜の証言により認める。)

3  一審被告は、平成元年七月、規約改正委員会を設置し、これに組合員に対するアンケート調査等を実施させたほか、ほぼ毎月二回の割合で一八回にわたり新規約案や使用細則案について検討させ、その結果、改正規約及び駐車場使用に関する細則の各原案の作成をみたため、各組合員に対し、駐車場使用に関する細則の制定及び駐車料の段階的引き上げについての資料を添付して、通常総会開催の通知を発し、都合で総会に出席できない組合員のため、白紙委任状は各階担当理事に委任されたものとして取り扱う旨を記載した委任状用紙を、各組合員に配付した。

(右事実は甲五号証、乙一、二〇号証、同二二号証の一、五ないし八、一〇ないし二〇、二二ないし三二、三四ないし三六、三八ないし四〇、原審証人樋渡重喜の証言により認める。)

4(一)  平成二年五月二六日、全三六二名の区分所有者のうち二九四名(うち二四〇名は委任状提出者)の出席により、平成二年度第一五回通常総会(以下「本件総会」という。)が開催された(駐車場専用使用権者四七名のうち出席したのは二一名、委任状提出者は二〇名であり、一審原告らのうち出席したのは四名、委任状提出者は亡千綿孝太郎を含め六名であった。)。

(二)  旧管理組合規約第三三条二項(1)は、規約の改正には総議決権(建物専有部分の総床面積に対する各区分所有者の専有床面積の割合によって算出された共有持分割合による―第二九条一項、第八条―。)の五分の四以上の賛成を要すると定められていたところ、採決の結果、総議決権数一〇万の五分の四を超える八万一〇四六の賛成により、管理組合規約改正案は原案どおり可決された。

(三)  右改正にかかる新たな管理組合規約(以下「新管理組合規約」という。)では、組合員は所有する住戸一戸につき一個の議決権を有し(二戸以上の住戸を有する場合でも議決権は一個とする。第四七条一項)、駐車場の使用については規約とは別に細則を定め(第一七条)、使用細則の制定には総会の決議を要し(第四九条(4))、右決議は、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席する総会において、出席組合員の議決権の過半数によってなされなければならない(第四八条一、二項)とされている。

(四)  本件総会において、管理組合規約改正決議に引き続き、新管理組合規約の右条項に基づき、駐車場使用細則が出席者の賛成多数により可決され、駐車場専用使用料の増額(普通自動車、軽自動車を問わず、平成二年度は月額四〇〇〇円、平成三年度は同五〇〇〇円、平成四年度以降は同六〇〇〇円とする。)を含む管理費等に関する細則も賛成多数(反対一一票)により可決承認された。

(五)  新管理組合規約中の駐車場専用使用権に関する規定は、以下のとおりである。

第一五条

1項 区分所有者は、駐車場について、管理組合が特定の区分所有者に対し駐車場使用契約により専用使用権を設定することを承認する。

2項 駐車場について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。

3項 区分所有者がその所有する住戸部分を、他の区分所有者または第三者に譲渡、貸与したときは、その区分所有者の駐車場専用使用権は消滅する。

4項 前項にかかわらず、当該譲渡または貸与の相手方が同居人であるときは、当該駐車場を専用使用することができる。

5項 第3項にかかわらず、当該貸与の期間が一年未満であるときは、当該駐車場の専用使用権は消滅しない。ただし、管理組合は、当該期間中他の区分所有者に当該駐車場を使用させることができる。

そして、同第六六条二、四項には、組合員が駐車場使用料を含む管理費等を二か月分以上滞納したときは、駐車場専用使用契約は解除されるものとするという定めがある。

このほか、駐車場使用細則は、駐車場使用の方法、駐車場使用契約の締結及び解約などの事項について定め、駐車場使用契約の内容は、理事会が決定し、または変更する旨を規定している。

(右(一)ないし(五)の各事実は甲二ないし四号証、乙一ないし三、五、六号証、同二二号証の一ないし四〇、前記証人樋渡重喜の証言により認める。)

5(一)  一審被告は、本件総会において、一審被告において駐車場専用使用権を買い取るべきであるという意見があったことを考慮し、専用使用権者四七名に対し書面を送付してその意向を打診した結果、合計一二区画の駐車場の買い取り申し出があったが、一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑はいずれも右申し出に応じなかったばかりか、改定後の使用料額の支払義務はない旨主張した。

(二)  一審被告は、一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑に対し、平成二年七月からは月額四〇〇〇円、平成三年は二月まで月額五〇〇〇円の使用料の請求をしたが、一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑は月額七〇〇円(一審原告水上は月額五〇〇円)の支払しかしなかったため、一審被告は、一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑に対し、平成三年三月二二日、同年四月二二日までに滞納分を支払うよう催告するとともに、支払がないときは駐車場使用契約を解除するとの意思表示をしたが、一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑はいずれも右支払をしなかった。

(右(一)の事実は甲六号証の一、同七号証の一ないし三、同八号証の一、二、同一二号証の一ないし三、同一三号証の一、二、同一四号証、同一六号証の三、同二四号証の二、同二五号証の二、同二七号証の二、同三一号証の二、前記証人樋渡重喜の証言、原審における一審原告空閑及び同水上各本人尋問の結果により認め、(二)の事実は争いがない。)

6  被控訴人空閑は、平成四年三月三〇日、訴外草野芳久に対し、駐車場専用使用権を本件マンション一〇二八号室の区分所有権とともに売却したとして、同年三月一九日付同居届、同月三〇日付譲渡許可申請書、区分所有者移動届及び同年四月三日付退去届を管理事務所ないし一審被告の担当理事に提出した。

(右事実は争いがない。)

二  当事者の主張等

1  一審原告ら及び附帯控訴人千綿

(一) 一審原告ら及び附帯控訴人千綿が有する本件マンションの駐車場専用使用権は、一審被告との間の駐車場使用契約により発生した債権ではなく、本件マンションの分譲者である訴外会社との間の売買契約によって発生し、買主によって取得された独自の用益権であり、民法上の地役権またはこれに類似する物権的土地利用権であって、専用使用権者は、当然に、第三者または他の建物区分所有者に対し、本件マンションの建物区分所有権とともに右専用使用権を自由に売り渡し、または、当該駐車区画を賃貸することができるものである。

旧管理組合規約第一八条三項は、専用使用権の譲渡には管理者の承認を要すると定めてはいるが、同規定は、本来自由であるべき専用使用権の譲渡に制約を課するもので、憲法二九条に違反し、無効な規定というべきである。

実際にも、訴外会社から買い受けて専用使用権を取得した区分所有者は、一審被告の承認という手続を経ることなく、自由に専用使用権を区分所有権と一体として譲渡してきたものであり、これは慣習となっていた。

(二) 右駐車場専用使用権の取得に伴い、一審原告らは、所定の金員を、各駐車区画の管理料ないしは駐車料として一審被告に支払うべき義務を負うが、その金額は旧管理組合規約中の細則で定められた金額(軽自動車は月額五〇〇円、普通自動車は月額七〇〇円)であり、一審原告水上については月額五〇〇円、その余の一審原告らについては月額七〇〇円を超えるものではない。

(三) 一審被告は、本件総会の決議により、旧管理組合規約を改正し、駐車場使用に関する細則を定め、駐車場使用料を改定したとして、以後月額四〇〇〇円を請求し、その後、右金額の使用料の滞納を理由として駐車場使用契約を解除したと主張し、一審原告ら及び附帯控訴人千綿の各駐車区画の使用を禁止しようとしているが、本件総会の開催及び右規約改正等の決議は、手続上の瑕疵があるから無効であり、実体的にも、規約改正前から専用使用権を有する一審原告ら及び附帯控訴人千綿に対しては効力を生じておらず、仮にそうでないとしても、一審被告が使用料の滞納を理由として専用使用契約の解除を主張するのは権利の濫用にあたり、無効であるから、一審被告が一審原告ら及び附帯控訴人千綿の各専用使用権の行使を制限することは許されない。

(四) よって、一審原告ら及び附帯控訴人千綿は、一審被告に対し、

(1) 一審原告ら及び附帯控訴人千綿はそれぞれ原判決別紙二「駐車場専用使用権目録」記載の内容による駐車場専用使用権を有すること

(2) 一審原告ら及び附帯控訴人千綿は、各駐車場専用使用権を、その所有にかかる本件マンションの建物区分所有権等とともに、これと一体をなす専有部分として、右区分所有権を買い受ける第三者または他の区分所有者に対し、自由に譲渡もしくは賃貸する権利を有すること

(3) 一審被告に対し、駐車場専用使用権の管理または駐車料として、平成二年七月一日以降、一審原告水上は一か月五〇〇円を、その余の一審原告ら及び附帯控訴人千綿は一か月七〇〇円をそれぞれ超えては支払義務がないこと

の確認を求めるとともに、一審原告ら及び附帯控訴人千綿の各駐車区画の占有使用に対する妨害禁止を求める。

2  控訴人空閑

(一) 一審原告ら及び附帯控訴人千綿の主張(一)と同じ

(二) 控訴人空閑は、前記のとおり駐車場専用使用権を有し、これにより、所定の金員を、各駐車区画の管理料ないしは駐車料として一審被告に支払うべき義務を負うが、その金額は旧管理組合規約で定められた月額七〇〇円であり、したがって、控訴人空閑が一審被告に対して支払義務を負う金額は、平成二年七月一日から平成四年三月三一日まで月額七〇〇円の割合による金員を超えるものではないところ、一審被告は、本件総会の決議により、駐車場使用料を改定したとして、以後、控訴人空閑に対し、月額四〇〇〇円の支払を請求している。

(三) 控訴人空閑は、新管理組合規約にのっとり、右駐車場専用使用権を訴外草野芳久に譲渡した。すなわち、控訴人空閑は、平成四年二月二〇日付不動産売買契約書により、その所有にかかる本件マンションの建物区分所有権を本件マンションの店舗部分の区分所有者である右訴外人に譲渡し、同年三月三〇日、その旨の所有権移転登記を経由したうえで、右駐車場専用使用権を移転し、かつ、これについて一審被告に通知した。然るに、一審被告は何らこれに異議を述べず、もって黙示的に右専用使用権の譲渡を承認した。仮にそうでないとしても、一審被告が右専用使用権の消滅を主張するのは権利の濫用として許されない。

(四) よって、控訴人空閑は、一審被告に対し、

(1) 控訴人空閑から訴外草野芳久に対する、平成四年二月二〇日付不動産売買契約書による原判決別紙二「駐車場専用使用権目録」駐車場配置見取図表示20の駐車区画の専用使用権の譲渡が有効であること

(2) 控訴人空閑は、右専用使用権の管理または駐車料として、平成二年七月一日から平成四年三月三一日まで、月額七〇〇円を超えては支払義務がないこと

の確認を求める。

3  一審被告

(一) 本件マンションの駐車場専用使用権は、①旧管理組合規約第一八条三項の定めるところにより、現に建物区分所有権を有する者に対して譲渡し得るのみであり、これから区分所有権者となろうとする者への譲渡は認められておらず、②同条五項は、専用使用権を有する者が管理組合員たる資格を喪失したときは専用使用権を失う旨規定しており、建物区分所有権の譲渡による管理組合員の交替は、譲渡人の組合員資格の喪失による脱退と譲受人の組合員資格取得による新規加入によるものであるから、専用使用権の譲渡による承継取得ということは予定されておらず、③駐車場区画が設置された本件マンションの敷地は建物区分所有者の共有物であり、本来、建物区分所有者がその共有持分に応じて使用する権利を有するのであるから、専用使用権は特定の駐車区画につき特定の建物区分所有者が優先的に利用することを認めたものにすぎず、単なる債権的使用権であるにとどまり、建物区分所有者の団体である一審被告の管理をはなれて自由に譲渡賃貸し、あるいは永続的に保有することが可能な権利ではなく、④旧管理組合規約は、本件総会により適法有効に改正され、新管理組合規約は明文をもって駐車場専用使用権の譲渡賃貸等の処分を制限している。

(二) 駐車場専用使用料は、本件総会における決議により適法に改定され、平成二年は月額四〇〇〇円、平成三年は同五〇〇〇円、平成四年以降は同六〇〇〇円となった。然るに、一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑は右のとおり改定された駐車場使用料の全額支払をせず、月額七〇〇円(一審原告水上は五〇〇円)の限度でしか支払わなかったため、一審被告は、一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑に対し、平成三年三月二二日、同年四月二二日までに改定額によって算出された使用料と既払分との差額を支払うよう催告するとともに、支払がないときは駐車場使用契約を解除するとの意思表示をした。しかし、一審原告ら、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑はいずれも右支払をせず、したがって、それぞれの専用使用権は消滅した。

(三) 控訴人空閑の当審における新たな請求は、他人の権利についての確認を求めるものであり、訴えの利益がない。また、控訴人空閑による駐車場専用使用権の譲渡が新管理組合規約にのっとって適法になされたという主張は、同規約の規定の誤解によるものであり、理由がない。

第三  証拠

原審及び当審記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四  判断

一  一審原告ら及び附帯控訴人千綿の請求について

1  駐車場専用使用権については、本訴当事者間においては、土地用益を目的とする財産権であるという限りにおいて争いがなく、また、権利行使の客体ないし目的物、行使の態様、方法等の外形的特徴に基づき、前記のとおり「マンション区分所有者の共有に属する敷地の一部に設けられた駐車区画のうちの特定の一区画を、自動車の駐車、保管の目的で、独占的かつ排他的に使用することができる地位もしくは権能」と定義付けることは可能であるものの、権利の法的性質、内容、効力等は法律によって明確に定まっているものではないから、解釈によってこれを確定していくほかない。

2  本件の駐車場専用使用権は、本件マンションの分譲の際に、分譲者である訴外会社とマンション購入者のうちの駐車場の使用を希望する者との間の契約によって設定され、その後の専用使用権者の変動は、最初に設定を受けた者からの移転という形をとっているから、その性質、内容等を解明するには、当初の、訴外会社と専用使用権の設定を受けた者との契約がどのようなものであったか、専用使用権がどのような権利として設定されたかについて検討する必要がある。

(一) 前認定のとおり、分譲者である訴外会社と一審原告らの一部、亡千綿孝太郎及び控訴人空閑を含む購入者らとの間で締結された本件マンションの売買契約(土地附区分所有建物売買契約)においては、売買の目的物に駐車場の専用使用権を含むこととされ、かつ、同売買契約書中には、本件マンションの購入者は、専用使用権者がその用途にしたがい、専用駐車場を使用することを承認する旨の約定があるのみで、駐車場専用使用権の内容、効力及び存続期間等を明らかにした約定はなく、また、訴外会社がどのような権限ないしは立場において各購入者に駐車区画を割り当て、代価の交付を受けたのかも明らかではない。

一方、訴外会社は、各マンション売買契約締結と同時に、各購入者から、駐車場専用使用権の取得、譲渡、喪失及び駐車料の納付等に関する規定を含む旧管理組合規約(案)を原案どおり承認する旨の書面を徴しており、訴外会社の右行為は、訴外会社において、本件マンションの分譲にあたり、分譲後における駐車場の使用に関する事項を含むマンション管理等に関する区分所有者全員の合意を取りまとめるべき責任を自ら負担することにつき、購入者全員から個別的に承認を得たうえ、右責任の履行として行ったものと解されるところ、訴外会社の作成にかかる旧管理組合規約第一八条二項は、専用使用権者は、組合員の中から抽選により、管理組合から業務の委託を受けた管理者(訴外管理会社)において定めると規定しており、これは、組合員すなわちマンションの区分所有者に対する駐車区画の割り当て、つまり駐車場専用使用権の設定は、マンション分譲後に、管理組合の業務として行われることを前提とした規定と解される。また、本件マンションの売買契約においては、その敷地である土地全部の共有持分も売買の目的物とされており、したがって、分譲完了後は、訴外会社は右土地について何らの権利も保有しなくなることが予定されていたものと認められる。してみると、訴外会社は、本件マンションの購入者すなわち区分所有者として将来設立される予定の管理組合の組合員となるべき者全員から個別に承諾を得て、本来であれば、マンション分譲後に、管理組合の業務としてなされるべき区分所有者間の駐車場(共有物である敷地の一部分)の使用に関する権利関係の調整を、管理組合に代わってあらかじめ行うという趣旨のもとに、駐車場の使用を希望するマンション購入者との間で駐車場使用契約を締結し、もって各駐車区画の割り当てを行ったものと見ることができる。

然るに、訴外会社は、各購入者と区分建物売買契約を締結した際に、特定の駐車区画の専用使用権を、先着順により、代価の支払を受けて譲渡したとし、しかも、収受した右代価を、区分所有者全員によって構成される管理組合(一審被告)に引き継ぐことなく、自らの利得として保持しているのであり、右事実によれば、訴外会社は、自己の利益を目的とする営業行為として駐車場専用使用権の分譲を行ったものと解するほかない。しかし、訴外会社の右行為は、訴外会社が自ら作成した旧管理組合規約(案)の駐車場専用使用権に関する規定の趣旨に合致していない疑いがあり、駐車場専用使用権の譲渡ないし設定についての訴外会社の意思は一貫性を欠き、自己矛盾に陥っているといわざるを得ず、結局、駐車場専用使用権の譲渡ないし設定契約における訴外会社の意思がどのようなものであったかを合理的に解釈することは困難であるというほかない。

(二) 右のように営利の目的で駐車場専用使用権を分譲した訴外会社の行為は、そもそも法律に照らし有効と解することはできないと考えられる。

すなわち、本件マンションの分譲者たる訴外会社は、分譲の完了により敷地の所有権を失い、以後これに対して何らの権利も保有しなくなることが予定されていたと認められることは前述のとおりであり、また、一般に、土地所有者は、自己の意思のみによっては、自己所有の土地上に自己のために地上権、地役権、賃借権、使用借権その他の用益権を設定することはできないから、訴外会社において、分譲開始前にあらかじめ自己のために敷地の一部につき専用使用権を設定したうえ、これを本件マンションの購入者に譲渡することはそもそも法的に不可能である。

この点につき、マンション分譲者は、マンションの分譲にあたり、敷地の一部につき駐車場専用使用権を分譲する権利を留保し、マンションの分譲とは別個にこれを分譲することができるという見解がある。これを一般化すると、土地の使用権と、使用権を除いたその余の所有権(底地権とでもいうべきもの)を分離して別々に処分することができると解するに等しいが、契約自由の原則をそのまま適用すれば、この場合に契約関係に立つ土地譲渡人、譲受人及び使用権者の三者、ないしは、少なくとも土地譲渡人と譲受人の意思の合致があれば、このような契約も有効に成立し得るといえる。しかし、この場合、土地譲受人は、使用権者の用益権によって制限された所有権しか取得できず、しかも、譲渡人が将来の用益の対価の前払を受けていたときは、譲受人は、土地を使用させる義務を負担するのみで、土地を所有することによる利益はほとんど享受できないこととなるのに対し、譲渡人は、土地の売却と用益権の有償設定により同一物から二重に利得し得る可能性があることに照らし、このような契約関係は極めて特殊な場合にしか成立し得ないものと考えられる。そうすると、土地の使用権と使用権を除いた所有権の分離処分が可能であり、このような契約も有効であるという右解釈は、譲渡人と譲受人が、ともに専門知識を有する不動産業者であるなど、社会的、経済的に対等な立場にあり、譲受人において、契約の内容と不利益性を余さず理解、認識し、売買代金の減額を含む交渉を十分に行うことができ、そのうえで自由な意思により契約を締結するかしないかを決定し得る場合には、妥当とすることができる。しかし、これを一般のマンション分譲の場合に適用して、分譲者は、売買契約書に、購入者は分譲者による駐車場専用使用権の分譲権の留保及びこれに基づく分譲を承諾する旨の約定がありさえすれば、マンションの分譲とは別に駐車場専用使用権を有償で譲渡することができると解するのは、専門のマンション分譲業者と、業者の定めた一律の契約条件にしたがって契約するかしないかの自由しか有しない一般消費者たる購入者との間の契約の解釈として妥当性を有するかは疑問なしとしない。特に、本件の場合、マンション売買契約書には、単に、購入者は駐車場専用使用権を有する者による駐車場の使用を承諾するという条項があるのみで、訴外会社による駐車場専用使用権の分譲権の留保及び分譲を承諾するという明示の規定はなく、駐車場専用使用権の法的性質、効力等を明確に定めた条項もないうえ、所有権を伴わない駐車場使用権が売買の目的物件として掲げられてはいるのに、売買代金の項では、駐車場専用使用権の「売買代金」ではなく「駐車場関係費」と記載されていて、はたして駐車場専用使用権が売買の目的となったのかどうか、購入者が支払った代価はいかなる性質のものかも不分明である。そして、前述のとおり、訴外会社による駐車場専用使用権の譲渡は、訴外会社が自ら作成した旧管理組合規約の規定の趣旨と整合しないなどの諸点に照らし、駐車場専用使用権の設定ないし譲渡を受けた購入者において、自己が取得した駐車場専用使用権がいかなる権利であり、いつまで存続するものであるのか、マンションの区分所有権と一体として、あるいはこれとは別に処分し得るものなのかなどについて明確な認識、理解を持ち得たとは解されず、他方、駐車場専用使用権の設定ないし譲渡を受けなかった購入者においても、対価を支払って敷地の共有持分を取得し、したがって敷地の一部である駐車場を使用する権利を得ていながら、自分が駐車場を必要とするようになったときでも、空きができない限り、使用権を取得する機会を与えられないという不利益を受けることを十分理解したうえで、訴外会社による駐車場専用使用権の譲渡を承諾したものと解するのも困難である。してみると、仮に前記の見解を採用したとしても、本件マンションの分譲の場合は、訴外会社と購入者全員との間において、駐車場専用使用権の分離譲渡に関する合意が有効に成立したとはいえないというべきである。

更に、一般にマンションの分譲においては、分譲後、多数の区分所有者により一種の共同体が構成され、共用部分や共有物である敷地につき共同使用の関係が成立するのであり、右の共同体ないし共同使用関係においては、構成員間の権利義務の公平かつ公正な配分、調整が図られるべきことが最も重要な要請であるといえるから、分譲者は、分譲後において区分所有者間に不公平を生じ、ひいては区分所有者の共同体の維持運営に困難をきたす原因となるような分譲方法をとってはならないという信義則上の義務があるというべきであり、分譲者の不適当な販売方策のために購入者らが将来にわたってマンションの共用部分等の円滑な共同利用を妨げられるおそれがある場合には、そのような販売方策として行われた駐車場専用使用権の分譲という行為の法的適合性を許容する解釈を採用すべきではないと考えられる。(なお、分譲業者は、一般に、駐車場専用使用権の分譲により利益を得られることを考慮に入れてマンション自体の販売価格を低く設定しているから、分譲業者は駐車場専用使用権を有償で分譲することにより二重の利益を得ているのではなく、また、駐車場専用使用権の譲渡を受けなかった者は、代価を支払って駐車場専用使用権の譲渡を受けた者の負担により、低い価格でマンションを取得できるのであり、かくして三者間の実質的公平は保たれているという論理がある。しかし、マンション分譲業者がマンションとは別に駐車場専用使用権を分譲することにより利益を得ようと企図していることは明らかではあるものの、右利益を計算に入れてマンション自体の分譲価格を引き下げ、全体として利益が不当に大きくならないように自らを律しているのか、それとも、マンションの分譲価格及びこれによる利益を引き下げることなく設定、取得しながら、更に利益を上乗せするために駐車場専用使用権の分譲という方策をとったのかについては、これを客観的に検証し、判定する手段はないのであるから、分譲業者は二重の利得をしていないとか、マンションの区分所有権だけを購入する者は、代価を支払って駐車場専用使用権の譲渡を受ける者の負担により、駐車場専用使用権の分譲がない場合に比し低い価格でマンションを取得できるといった論理には根拠がない。)

(三) 以上のとおり、訴外会社による本件マンションの駐車場専用使用権の譲渡の有効性を肯定することは困難といわざるを得ず、したがって、訴外会社との間のマンション売買契約と同時に、かつ、訴外会社に代価を支払って譲渡ないし設定を受けたことをもって、駐車場専用使用権が、強固な保護を受けるべき物権的用益権に類似する土地利用権であり、権利者において自由に譲渡賃貸などの処分が可能な権利と解するべきであるという一審原告ら及び附帯控訴人千綿の主張は、その前提において既に根拠がないといわざるを得ない。

3  前認定のとおり、本件マンションの購入者は、マンション売買契約締結時に、訴外会社に対し旧管理組合規約(案)を原案どおり承認する旨の書面を差し入れたものであり、したがって、末尾の細則を含めた旧管理組合規約は、本件マンションの専有部分、共有部分及び共有物である敷地の利用、管理等に関する分譲完了後のマンション区分所有者全員の合意を書面化したものと解され、他方、旧管理組合規約のほかに、これに付加し、あるいはこれと異なる合意が成立したことを認めるべき証拠はない。

訴外会社による専用使用権の譲渡という行為が、将来設立される予定の管理組合の業務をあらかじめ代行したものと見るべき場合はもとより、訴外会社が自己の利益のために行った営業行為であると見られる場合であっても、前述のとおり、専用使用権の性質、内容等に関する定めは、専用使用権の譲渡についてのマンション売買契約書中にはなく、訴外会社が作成した旧管理組合規約中にしかないのであるから、駐車場専用使用権の性質、内容及び効力等については、旧管理組合規約の該当条項がどのように定めているかにしたがって判断されるべきである(駐車場専用使用権の譲渡につき管理者の承諾を要するという制限を課している旧管理組合規約の規定は憲法二九条に違反するという主張については、そもそも自由譲渡性を有することが一般的に承認された駐車場専用使用権という権利があるわけではなく、その内容等は設定した当事者の意思を民法等の法律に照らして合理的に解釈して判定するほかなく、本件の場合は、旧管理組合規約の当該条項を右意思解釈の資料とするほかないのであるから、当該条項が譲渡に制限を付している以上、一審原告らが取得した専用使用権はもともとそのような制限が付された権利と解する以外にないのであり、右主張が当を得ないことは明らかである。)。

本件の駐車場専用使用権の得喪等について定めているのは旧管理組合規約第一八条及び細則の第2項のみであるところ、このうち、旧管理組合規約第一八条五項の、専用使用権者が組合員資格を喪失したときは専用使用権を失うという定めは、駐車場専用使用権が、組合員すなわち敷地の共有持分権を含む本件マンションの区分所有権の帰属主体である者のみが保有し得る権利である旨を定めたものと解され、専用使用権者はあらかじめ管理者の承諾を得たうえ、組合員に対してのみ専用使用権を譲渡することができると定めた同三項と相まって、駐車場専用使用権を有する区分所有者は、区分所有権を他に譲渡しながら、駐車場専用使用権を保持し続けることはできず、区分所有権を保持しつつ、駐車場専用使用権のみを譲渡することはできるが、その場合の譲受人は本件マンションの区分所有権を有する者に限られるという趣旨を定めたものと解される。

しかし、専用使用権を有する区分所有者が、現に本件マンションの区分所有者である者以外の者に対し、区分所有権とともに専用使用権を譲渡することが許容されているかどうかは、右各規定からは必ずしも明らかではない。また、区分所有建物を賃貸するなどして他人に使用させる区分所有者が、専用使用権を有する駐車区画を右の他人に使用させることができるかどうか、区分所有者が、専用使用権を有する当該駐車区画を本件マンション外の第三者に無償または有償で使用させることができるかどうか、専用使用権を有する区分所有者が、区分所有建物のみを他人に使用させ、自らは本件マンション外に居住しつつ、駐車区画だけを専用使用することができるかどうかについては、何ら定めがないものと解される。また、旧管理組合規約には、駐車場専用使用権の存続期間について直接定めた規定はなく、解釈上も、これをうかがい知ることはできない。

右のとおり、旧管理組合規約及び細則などの各規定の解釈だけでは、本件駐車場専用使用権の内容及び法的性質を十分に確定することはできない。

(なお、本件総会以前における、区分所有権及び駐車場専用使用権の譲渡の実態は、前認定のとおりであり、駐車場専用使用権の自由な譲渡賃貸が慣習として行われていたとまでは認められない。)

4  本件の駐車場専用使用権は、区分所有者全員の共有であるマンション敷地の使用方法に関する事項であり、駐車場を共有者のうちの一部の者が独占的に使用することを許され、他の共有者はこれを承認するという法律関係に関するものであるから、共有者間の共有物の使用ないし管理に関する一般規定である民法、及び、その特別法である区分所有法の規定及びその解釈が、その内容、効力等を解明するための手がかりとなる。

(一) 民法第二四九条は、各共有者は共有物の全部につきその持分に応じた使用をなすことができると規定している。これは、もとより、例えばある土地につき二分の一の共有持分を有する者がその土地の面積の二分の一にあたる特定の部分を独占的に使用し得ることを意味するものではない。他の共有者も当該土地部分につき自己の持分に応じて使用する権利を有しており、独占的使用はこれを害するからである。したがって、共有者の一人が土地の一部を独占的に使用するためには、他の共有者の承諾を得る必要があるところ、民法第二五二条本文は、共有物の管理に属する事項は各共有者の持分の価格にしたがい、その過半数によって決する旨規定し、共有者の一人による共有土地の特定の一部分の独占的使用は、右の共有物の管理に属する事項に該当するから、結局、共有者の一人は持分の過半数の意思により認められた場合に初めて共有土地の一部を独占的に使用することができることとなる(この場合、特定部分を独占的に使用する者の権限は共有持分という所有権にほかならないが、他の共有者との間で締結された契約によって設定された債権的使用権とみることもできる。)。

(二) これを本件マンションの駐車場の使用についてあてはめると、区分所有者は、全員がその持分に応じて駐車場を使用する権利を有するが、当然には、特定の駐車区画を独占的に使用することはできず、持分の過半数の合意によって認められた場合に初めてこれが可能となるが、右独占的使用権すなわち専用使用権は、基本的には、共有土地の使用という、共有持分権の行使の一つの態様にすぎないから、共有持分権から独立して存在することはあり得ず、これと分離して処分することもできない。専用使用権は、もともと、共有持分の過半数の意思により、通常の共有持分権に特定土地部分の独占的使用という特典が付加されたものであるから、共有持分権が譲渡された場合には当然にこれと一体として移転するものではなく、事前に一体譲渡についての承認までなされていない限り、共有持分権の譲渡とともに消滅し、共有持分権を譲り受けた者は、新たに共有持分の過半数の承諾を得なければ、独占的使用を開始することはできないこととなる。そして、専用使用権が認められた駐車区画を他に賃貸することは、共有土地の管理の変更に属する事項であるから、これについても共有持分の過半数の承諾が必要であるし、共有持分の過半数の意思により、いったん認められた専用使用権を廃止し、あるいは、その内容、態様を変更することも可能である。また、当該駐車区画を独占的に使用することによる利益は、他の共有者がその駐車区画を利用できないという損失のもとに享受されるものであるから、独占的使用者は、自己の持分を超える使用利益につき金銭による清算をなす必要があり、したがって、特定の駐車区画の独占的使用の対価として支払われる金銭、すなわち、専用使用料は、共有物の使用に伴う共有者間の利得と損失の清算金の性質を有し、近隣地価や固定資産税の変動その他の事情変更に応じて、同じく共有持分の過半数の意思により変更することができると解すべきこととなる。

(三) マンションの区分所有者間における敷地の管理及び使用に関し、区分所有法第三〇条一項は、同法に定めるものを除き、規約において定めることができるとしており、これは、区分所有者の共有に属するマンションの敷地の管理、使用は、区分所有者すなわち敷地の共有者の全員ないし多数の意思(昭和五八年の改正以前は全員、同改正後は区分所有者及び議決権の各四分の三)によって規律され、処理されるべき事項であるという当然の事理を改めて宣言したものと解され、また、同法第一八条を準用した同法第二一条によれば、区分所有者の共有に属する建物敷地の管理に関する事項は、区分所有者の集会における普通決議すなわち多数決によって決するとされており、これは、共有物の使用に関する事項は共有持分の過半数によって決するという民法の規定と同趣旨と解される。

これによれば、区分所有者の共有に属する敷地の一部にもうけられた駐車場につき専用使用権を設定するか否か、専用使用権をどのような内容のものとするか、その得喪につきどのような定めをするかなどについては、すべて管理組合規約において定めることができ、規約に定められなかった場合でも、管理組合総会の普通決議によって決定することができることとなる。

5  以上のとおり、本件駐車場専用使用権は、本件マンションの敷地の共有持分に基礎を置き、共有物の使用に関する共有者間の合意によって認められる権利であり、その内容、効力等は、共有者全員の意思に基づいて成立した旧管理組合規約がどのように規定しているかによって定まると解するべきである以上、規約が適法に改正され、新管理組合規約が効力を生じたときは、駐車場専用使用権の内容等はこれにしたがって変更され、改正以前から専用使用権を有していた者も、当然新管理組合規約に拘束されると解される。

平成二年五月二六日に開催された本件総会において、まず、旧管理組合規約の規定にのっとり、規約改正の決議が総議決権の五分の四を超える多数の賛成により可決され、次いで、改正後の新管理組合規約の規定にしたがい、駐車場使用細則及び駐車場使用料の増額を含む管理費等に関する細則が、いずれも出席組合員の過半数の賛成により可決されたことは前認定のとおりである(ただ、本件総会に現実に出席した者は五四名であり、二四〇名は各階担当理事に議決権の行使を委任する旨の白紙委任状を提出したにとどまることは前認定のとおりであるが、一審被告は、本件総会において審議される予定の議事についての資料を事前に各組合員に配付し、その周知を図っているのであるから、委任状提出者はこれらの議題が審議されることを知ったうえで、どのように議決権を行使するかを含め、受任者に包括的に委任していたものと認められ、したがって、右白紙委任の効力、ひいてはこれに基づく決議の効力を否定すべき理由はない。なお、管理組合総会における議決権の行使は、対向する二者間の取引ないし契約締結行為とは性質を異にするから、議決権行使の委任につき双方代理の問題は生じない。)。

ところで、旧管理組合規約においては、駐車場使用料の変更は、行使された議決権の過半数の賛成による決議のほか、駐車場利用者の過半数の同意を要する旨定められていた(第三三条一項、二項(3))ところ、本件総会における駐車場使用料の増額を含む管理費等に関する細則は、出席組合員の過半数の賛成により可決されたが、旧管理組合規約の右規定の定める、駐車場利用者の過半数の同意があったかどうかは、証拠上明らかではない(駐車場専用使用権者四七名のうち出席したのは二一名、委任状提出者は二〇名であったから、仮に反対一一票が全部出席した駐車場専用使用権者のものであり、委任状を提出した駐車場専用使用権者の票がすべて賛成に投じられたとした場合、賛成票は三〇票となり、駐車場専用使用権四七名の過半数を超えることとなる。)。しかし、右規定を含む旧管理組合規約については既に改正決議が成立しており、新管理組合規約においては、駐車場使用料の増額を含む管理費等に関する細則は、出席組合員の過半数の賛成により制定することができるものとされ、駐車場専用使用権者の過半数の同意を要するという規定は廃止されているのであるから、この点における決議の不成立ないし細則の無効の問題は生じない。

また、区分所有法第三一条一項後段は、規約の改正が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない旨規定しているところ、新管理組合規約及び駐車場使用細則は、旧管理組合規約において明らかに定められていなかった事項を明記し、もしくは、旧管理組合規約の定めを改変して、従前の専用使用権の内容を制限し、あるいはその効力を限定するものということができ、また、駐車場使用料の増額を含む管理費等に関する細則の制定は、従前からの専用使用権者に一定の不利益を及ぼすことは明らかである。しかし、右の区分所有法にいう「特別の影響」とは、合理的な理由がないのに、特定の区分所有者が受忍限度を超える不利益を受けることをいうと解され、本件の場合は、もともと各専用使用権者が訴外会社から譲渡を受けたとされている駐車場専用使用権の性質、内容及び効力が不明確であり、右譲渡の効力自体にも疑義があること、旧管理組合規約から新管理組合規約への改正、使用細則の制定及び駐車料の改定は、かような駐車場専用使用権の性質、内容等に関する疑問点を明確にし、かつ、本件マンションの区分所有者相互間における駐車場利用の公平化、適正化を図る目的であったこと、従前から専用使用権者であった者からその専用使用権を剥奪するものではなく、ただ、その行使方法や得喪につき、共有物たる敷地の利用方法として是認し得る内容により新たに規定を設け、かつ、その対価である駐車場使用料を、増設駐車場の使用料額との均衡を図るなどの理由により増額したにすぎないことに照らし、区分所有法三一条一項後段が適用される場合には該当しないと解するのが相当である。

以上のとおり、右管理組合規約の改正等はいずれも適法有効になされており、一審原告ら及び亡千綿孝太郎に対しても効力を生じたものと認められる。

6  前認定(第二、一、4、(五))のとおり、新管理組合規約は、駐車場専用使用権の設定につき、管理組合と特定の区分所有者との駐車場使用契約という法形式を採っているものであるところ、一審被告が、一審原告ら及び亡千綿孝太郎に対し、平成三年三月二二日、同年四月二二日までに改定後の金額によって算出した駐車場使用料と既払分との差額を支払うよう催告するとともに、その支払がないときは駐車場使用契約を解除するとの意思表示をしたにもかかわらず、一審原告ら及び亡千綿孝太郎がいずれも右催告にかかる金員の支払をしなかったことは前述のとおりであるから、これにより、一審原告ら及び亡千綿孝太郎はそれぞれの駐車場専用使用権を失ったといわざるを得ず、一審被告による契約の解除ないしはその効果の主張が権利濫用に該当すると認めるべき根拠は見出されない。

7  以上の次第で、一審原告ら及び亡千綿孝太郎は使用料の滞納により各駐車区画の専用使用権を失ったという一審被告の主張は理由があり、一審原告ら及び附帯控訴人千綿の各請求のうち、専用使用権の保有及びその処分権限等の確認を求める請求はいずれも失当である。

一審原告ら及び附帯控訴人千綿の各請求のうち、平成二年七月以降毎月七〇〇円(一審原告水上については毎月五〇〇円)を超えては駐車場使用料債務が存在しないことの確認を求める請求については、一審被告は、一審原告ら及び附帯控訴人千綿が一審被告に対して負担する各駐車場使用料の額は、平成二年七月一日から同年一二月三一日までは毎月四〇〇〇円、平成三年一月一日から同年四月二二日までは毎月五〇〇〇円であり、一審原告ら及び附帯控訴人千綿は、右同日にそれぞれの駐車場専用使用権を喪失し、これに基づく駐車場使用料債務は消滅した(権限に基づかない使用による使用料相当の損害金債務に変じた)と主張しているから、右請求における訴訟物は、金額を、七〇〇円を超え、四〇〇〇円ないし五〇〇〇円未満とする駐車場使用料債務の存否となる(これを端的に表現すれば、一審原告ら及び附帯控訴人千綿が一審被告に対して負担する各駐車場使用料債務の額は、平成二年七月一日から平成三年四月二二日までの間については、一審原告ら及び附帯控訴人千綿が主張する月額七〇〇円なのか、一審被告が主張する月額四〇〇〇円ないし五〇〇〇円なのかということになるから、右請求は、右債務額が七〇〇円と認められれば全部認容、七〇〇円を超え、四〇〇〇円ないし五〇〇〇円未満と認められれば一部認容、四〇〇〇円ないし五〇〇〇円と認められれば全部棄却となるものである。そして、平成三年四月二三日以降の分については、一審被告は、そもそも一審原告ら及び附帯控訴人千綿はいずれも駐車場使用料債務を負わないことを認めているのであるから、これが月額七〇〇円ないし五〇〇円を超えては存在しないことの確認を求める一審原告ら及び附帯控訴人千綿の各請求は、いずれも、そのまま認容するほかない。)。然るに、前述のとおり、一審原告ら及び附帯控訴人千綿が一審被告に対して負担する各駐車場使用料の額は、平成二年七月一日から同年一二月三一日までは毎月四〇〇〇円、平成三年一月一日から一審原告ら及び附帯控訴人千綿が専用使用権を喪失した同年四月二二日までは毎月五〇〇〇円であると認められ、これは一審被告が主張するとおりの金額であるから、結局、平成二年七月一日から平成三年四月二二日までの間の各駐車場使用料の額が月額七〇〇円を超えては存在しないことの確認を求める請求については、その全部を棄却すべきこととなる。

二  控訴人空閑の請求について

1  控訴人空閑は、当審において、請求の趣旨の一部を交換的に変更したものであり、これによって変更前の請求は適法に取り下げられたこととなり、当審における審理の対象とはならない。また、原判決は、右取り下げられた控訴人空閑の請求に関する部分に限り、当然に失効した(なお、右請求は再訴禁止の対象となる。)。

2  控訴人空閑の当審のおける新たな請求のうち、訴外草野芳久に対する駐車場専用使用権の譲渡が有効であることの確認を求める請求は、過去の事実の確認ないしは他人に属する権利の確認を求めることにほかならず、確認の利益を欠き、ないしは、控訴人空閑は当事者適格を有しないから、不適法な訴えとして却下を免れない。

3  控訴人空閑は、従前、一審被告に対して負担する駐車場使用料債務として、平成二年七月一日以降、毎月七〇〇円を超えては支払義務がないことの確認を請求していたが、当審において、このうち、平成四年四月一日以降の駐車場使用料債務の分についての確認請求を取り下げ、平成二年七月一日から平成四年三月三一日まで、毎月七〇〇円を超えては支払義務がないことの確認請求のみを維持したものであるところ、右請求は、一審原告ら及び附帯控訴人千綿の関係で前述したと同じ理由により、平成二年七月一日から平成三年四月二二日までの分については、全部棄却すべきであり、同年同月二三日以降平成四年三月三一日までの分については、そのまま認容すべきこととなる。

三  よって、以上の結論と異なる原判決を変更することとし、民訴法九六条、八九条、九二条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官秋元隆男 裁判官池谷泉 裁判官川久保政德)

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